西瓜スイカ


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今どきクーラーが無い家というのも珍しい。新盆を迎えた義母の家には、盆だなを飾った二間続きの畳の部屋にクーラーが無い。昔通りを貫いた義母は、頑としてクーラーを拒否した。

そんなわけで、新盆のお客様を迎える私達は、連日の暑さのなかでぐったりしていた。親類の人が、畑で育てたと言う西瓜をお土産にくれた。完熟だったらしく、一寸何かにぶつかったとたん、パリンと音をたてて割れてしまった。急遽氷で冷やして皆でかぶりついた。丸ごとの西瓜を皆でかぶりつくなんて、いったい何年ぶりだろう。汗だくでぐったりした身体に、西瓜はまるで点滴を打っているかのように染み渡っていった。美味しくて、美味しくて、次々齧り付き、とうとう思いきり大きい丸ごとの西瓜の半分くらいを食べてしまった。

本当に、西瓜の甘い水分と恵みが身体の隅々まで行き渡っていく行くような気がした。

野菜ソムリエとしては、カリウムを含み汗をかく夏場にぴったりだと言うことは知っていた。先日の薬膳講座でも、篠原薬剤師にも、宮澤野菜ソムリエにも夏場の西瓜の効能を教えていただいた。

しかし、あのうだるように暑い部屋のなかで食べた西瓜は、有無を言わせない説得力をもってその効能を私たちに教えた。