サービス再度続き

ホテルの外まで出て迎えてくれた初老の男性は、「お電話でお知らせ頂きましたし、次々と情報が入ってきましたので、準備してお待ちいたしておりました。」と、長時間の運転でヨレヨレになっている若輩子連れの私達を、丁重に迎えてくれた。それどころか、わざわざ食堂まで行かなくて済むよう、ロビー近くにテーブルを作り、温かい夕飯を直ぐに準備してくれた。小さい息子も、愚図る暇もなく晩御飯に飛び付いた。名物の虹鱒の料理。バトラーは、息子に説明しながら、それはそれは綺麗に骨を剥がし、食べやすいようにしてくれた。以来、息子は魚を食べる時、魚の骨標本のように美しく食べる。

別な機会に那須の高級リゾートホテルに、ヨレヨレのTシャツを着て、突然皆で昼御飯だけ食べに行ったことがある。鼻先であしらわれた感じがした。今では、違う名前のホテルにリニューアルしてしまった。

本当に良いホテルには良いスタッフがいて、ホテルの格を高めている。いくら高級を歌ったところで、他人を見下すような態度の高級感は長続きしない。例え見窄らしい客でも粗略には扱わない。其々の客に合った最適のサービスを提供できる。それが本当の高級店。

こうして、大渋滞という最悪の想い出を、一人のバトラー(執事)が、30数年たった今も覚えている最上の想い出に変えてくれた。

サービスとは、相手が何を望んでいるかということを想像して、最適な事をすること。もし、他人の考えてることなんかワカンナイと言うのならば、自分だったらどうしてほしいと思うか、どうされたら嫌なのか、そう考えたらどうだろうか。自分がされたら嫌なことは、他人にもしないようにしたい。

人が望むことは千差万別、要望はきりがない。けれども、飲食店もサービス業であり、お客様を満足させる最適なサービスは、何時までも忘れられない、また行ってみたくなる店に育ててくれるに違いない。

私達も、何時までも長続きする、何度も来ていただける店に畑のGOCHISOを育てて行きましょう。