老年は荒野をめざす

昨日「江戸城」と書くべきところ、「江戸場」とうっかり書いて、友人からお叱りのメールをいただいた。

誰に向けてということも無い、宛先の無い手紙を書いているようなブログなので、このブログを読んでくれている人がいるという実感がない。そんな訳で読んでいる人がいると分かり、叱られているのに一寸嬉しかった。

 

1970年度初め、五木寛之が「青年は荒野をめざす」という本を出した。

先日テレビに出ていた70歳位の女性は、教師を定年退職して開いた蕎麦やを畳んで、幼い頃からの夢であった歌手を目指して、地方都市に移住して音楽学校に学ぶという決断をしたことが紹介されていた。

荒野をめざすのは、青年だけではないのだ。老人もまた荒野をめざすのだ。歳はとっても、好奇心は変わらなくある。子供の頃と大して変わらない気持ちを持ち続けている。その上、沢山の経験と知恵と度胸までついている。他人の創った舞台で踊るのは簡単だ。けれども、自分の舞台を必死の思いで創り、皆で立ち上げたトキメキは、やったものにしか分からない。老年だって荒野をめざし、胸踊らせて何かを創り上げることだってまだまだ可能な筈。もう誰かのために生きるのではなく、自分自身のために生きて良い筈。もう十分働き続けて来た老年だから。

人生百年時代。そろそろ自分自身のために、少々我儘に、好きなことだけしていくのも他人にとやかく言われる筋合いのものでも無い。

「青年は荒野をめざす」そして、「老年も荒野をめざす」のである。